会長挨拶

第76回日本皮膚科学会中部支部学術大会
会長 加藤 則人(京都府立医科大学北部キャンパス)

2025年10月25日(土)、26日(日)に国立京都国際会館で「皮膚科学の未来に向かって」をテーマに、日本皮膚科学会中部支部学術大会を開催させて頂くことになりました。このような機会を与えて頂きましたことを関係者の皆さまに心から感謝申し上げます

近年、医学を含む自然科学は飛躍的な進展を遂げ、その研究成果をもとに多くの皮膚疾患の新たな診断法や治療法が開発されてきました。私が皮膚科医になった35年前に思い描いた未来の皮膚科学像を大きく超えて、皮膚科学は著しい進化を遂げています。一方で、当時限られた薬物療法しかない中で、一人ひとりの患者の皮疹が生じた理由、よくならない理由を深く考えた経験は、効果の高い薬物療法を行えるようになった今も大いに役立っていると思います。持続可能な発展には、社会や先輩たちから与えられたものに自らが経験したことや生み出したものを加えて、後輩や未来の社会に引き継いでいくことが大切です。この学術大会が、そのような機会の一つになることを願ってプログラムを組みました。

特別講演は、自己免疫性水疱症の未来を切り拓いた慶應義塾大学皮膚科の天谷雅行教授と、アトピー性皮膚炎の病態解明と治療法の開発に尽力したドイツ・ボン大学皮膚科のThomas Bieber教授に、ここまでの歩みと若い皮膚科医に向けたメッセージをお話いただきます。平成元年(1989年)卒業の同期皮膚科医6人によるシンポジウムでは、それぞれの専門分野である水疱症、皮膚悪性腫瘍、アトピー性皮膚炎、血管炎、膠原病、乾癬の「これまでとこれから」、そして未来の皮膚科学について語り合いたいと思います。様々な分野のシンポジウムや教育講演、専門医共通講習、一般演題などを通して、参加された皆様に多くの学びと未来に向けてのモチベーションが生まれることを期待しています。また、この学会を通じて、参加された皆様の間で共通する興味や目標、課題などを持つ仲間や友人が増えることも願っています。

10月末には京都国際会館の庭園の木々も色づき始めていることと思います。中部支部のみならず全国の皆様にご参加頂き、「皮膚科学の未来に向かって」活発な意見交換を行えることを楽しみにしています。